親バレ
キャバクラ嬢は、その仕事自体を周囲に隠している人と隠さない人に別れますが、学生さんであったり、昼間の仕事などと兼用している人の中には徹底して昼の友人には夜の仕事のことを隠し続ける人も多いみたいです。まるで水商売が犯罪であるかのような隠しぶりを聞いて驚くこともないではないですが、逆に「ぜーんぜん隠さない」という女の子もいるにはいます。
高校生あたりから吹っ切れた生活を送っていた人に多くて、こういう女の子たちは「昼より夜の友達の方が多い」などという子も少なくはありません。
でまあ、これらは今回の話とは関係ない前振りです。
自分の仕事のことを隠す女の子が、誰より真っ先に隠したい相手は親ということになります。そして、たいていの親も自分の娘が夜の仕事をやっていることを歓迎しないので、親に隠す、ということはある程度、当然なことではあります。
キャバクラ用語(か?)として、こういう子たちが親に夜の仕事のことがバレることを「親バレ」と呼びます。もちろん、上に書いた状況と同じで「親にさえなーんにも隠してない」という子もいるわけですけれど、率としては高くないと思います。東京辺りで自宅から出勤している女の子などの場合は「居酒屋でバイトしてる」とか「カラオケ屋で働いている」と親に言っていることが多いようで、それが何かの拍子にバレてしまうことがあるわけですね。
バレる原因で一番多いのは、給与明細などを不用意に部屋に放置しておく、とか、まあそんなところが多いようで、心配性の親は、給与明細から連絡先を辿っていき、娘の勤めているキャバクラを探り出す、という探偵まがいのことをする人もいます。
先日、私の指名している女の子の一人が親バレしたのですが、その経緯は親の執念とでもいうべきものでした。
彼女は東京出身ではないので、一人暮らしです。つまり、東京でどんな仕事をしていようと親にバレるなんてことは有り得ないのが普通ですが、彼女の親は違いました。親の職業とも関連あるのでしょうけれど、なかなかの執念です。
彼女は夜の仕事を始めるまでは、医療事務の仕事をしていたのですが、それをヤメて夜の仕事にうつりました。この時点で遠く田舎に住んでいる両親に何が分かるものか、と考えるのが普通ですが、親は税務署に勤めているのだそうで、どういう経緯なのか分からないし、そのあたりの細かい事情はよく分からないのですけれど、とにかく昼の仕事をヤメたことが親にバレてしまったわけです。でも、次に何の仕事につこうと、やはり分かるわけがありません。
彼女は「OLやってる」と親に言っていたんですが、どうも親は直感で「何かおかしい」と感じたのでしょう。
娘に「じゃあ、給与明細をうちに送ってきなさい」と言ってきました。
彼女はここで考えてしまいました。いくら何でもキャバクラの給与明細をそのまま送ってシラを切れるわけがありません。まして、親は税務署員。困った彼女が店長に相談してみると(この店はとても大きなチェーンで、もちろん業務を仕切っている親会社もあります)、「じゃ、うちの親会社で事務をやってるってことにしようか。ちゃんと明細もそれで出してあげるから」と言われました。「○○株式会社」の事務の給与明細を送れば、いちおう親は納得 するでしょう。彼女はその通りに実行しました。
ところが、親の追跡はこんなものではありませんでした。よほど娘を信用していないのか何なのかは分かりませんが、親はその給与明細をもとに会社に電話連絡し、「おたくの事務に○○という者はいるか?」という問い合わせをしました。これでアウトです。しかも、その親会社がどんな業務をしているのかを聞き出し、その根幹がキャバクラ経営であることを知り、親はさらに追跡し、ついに娘の働いているキャバクラまでをも特定したのでした。
翌日、親から彼女に連絡がありました。
この時点では彼女はまだバレていることを知りません。
「もう一度きくが、どんな仕事をしているんだい?」
「だから、OL。事務やってるって言ったでしょう?」
「○○○っていうクラブで事務か?」
と言われて、絶句したそうです。
結局、彼女はすぐに夜の仕事をやめて昼の仕事に戻るということを条件に許してもらえたそうで、実際に今、昼の仕事も探しています。でも、
「職探しはポーズ、ポーズ。夜はヤメない。今度は絶対バレないようにやる」
と頼もしい宣言もしていました。
まあ、一般的に見れば、娘が夜の仕事をしているというのは世間体のいいものではないのかもしれませんけれど、この親の執念は大変なものだと思います。その執念の代わりにもう少し娘を信じては? とも思いました。
