ハイテンション


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そりゃ、キャバクラ嬢はある程度はノリがいい方がいいに決まってますが、度が過ぎると最終的には沈黙に近づく、ということをたまに実感することがあります。

先日、友達が臨時収入があったとかで、私ともう一人の2名に、ちと高めのキャバクラを奢ってくれました。彼はいつも行っている店ですが、私はほとんど行ったことがありません。

で、彼は当然指名で、連れて行かれた我々2人はフリーで入ったわけなのですが、2人とも特に大きな野望を抱いて行ったわけでもないし、何だかお店も混んでいて、女の子を確保しておいた方がいいなということで、最初に来た女の子に「ああ、じゃあ、場内で」と、かなりいい加減なノリで場内を入れました。

この子自体には何の問題もなかったんですけれど、思ったより人気があったようで、指名が重なっていました。で、ヘルプの子が何度も席に来たんですが、そのヘルプの子がとてもハイテンションだったんですね。

「こんにちはー! あれー、なんか3人で話してた? 私、じゃま? みたいな? なーんて、本当は早く座ってくれってやつ? 何? ここ初めて? っていうかー見たことあるかも? みたいな? 何飲んでんの? ウイスキー? 何々? 早く酔っ払いちゃいたいってやつ?」

というような言葉を矢継ぎ早にまくし立てて、彼女は着席しました。
私は、「あーうー」と曖昧に対処の仕方を考えていると、

「なんか静かな人って感じ? おしとやか? 音楽やってる?(このあたりにくると意味不明です)」


と彼女の攻勢は更に続きます。

「あー、私、ユカでーす。以後よろしくー、みたいな?」
「あーうー」
「ハハハハハ」
「?」(何がおかしいんだか分からない)
「ハハハハハ」
「?」(何がおかしいんだか本当に分からない)
「(突然)なんかさむーい。クーラー効きすぎ?」
「あーうー」
「寒いっしょー。ちょっとボーイさんに言う。お願いしまーす」
「あーうー」
「これさっきの子のドリンク? 上になーんも置いてないじゃん。あ・た・しが名刺置いちゃおっ。キャハハ」
「あーうー」


文字では伝わりにくい雰囲気を一生懸命書こうとしていますが、やはり難しいようです。いずれにしても、この調子で彼女は、ヘルプでついた20分間を疾走しました。
気をつかってくれているのは痛いほど分かります。お客さんの相手をしなければいけない、という態度を全面に出していることは本当によく分かるのですが、あまりにも全力疾走し過ぎていたようです。
この席は最終的にはどうなったのかというと、

「ハハハハハ」
「あーうー」
「ハハハ……」
「あー……」
「……」
「……」


と、沈黙に至りました。

1950年代に「沈黙の春」という著作がアメリカで出版されて話題になったことがあります。行きすぎた化学汚染が社会と地球を滅ぼすという、現在のエコロジーブームの先駆けともなった著作です。
そして私は思いました。行きすぎた気遣いは社交を滅ぼす、と(全然、シメになってなくてすみません)


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