キャバクラ嬢 実力派との対話
私個人は、30代、あるいは30代以降の女性を「実力派」と呼んでいます。当然、一般用語ではなく、私だけの日本語です。
これはキャバクラ嬢だけに当てまるものではなく、私は30代から40代のすべての女性をこう呼んでいます。もちろん、これは女性本人に対しては使ってはいけない言葉です。
使う局面としては、たとえば、
知人 Aくん、結婚するんだって。
私 相手いくつ?
知人 32とかいってた。
私 実力派か。
というように使っています。よく分からないでしょうが、私の知人はすでにこのことを知っているので、この場合はこれはこれで通じています。とはいえ、確かに知らない人には訳の分からない言葉ではあります。
しかし使い慣れると楽で、キャバクラでも帰途、
友人 どんな子だった?
私 実力派だった。
これだけで通じるので楽は楽です。
そして、このニュアンスからも分かる通りに、ポジティブな方向を向いている言葉でもないということも分かるかと思います。たとえば、仮に30歳代中盤などでも、黒木瞳ばりの美女が来たならば、この場合は多少イロがつきます。
友人 どんな子だった?
私 実力派なんだけど、メチャメチャきれいな人だったよ。
というような物言いになるような気がします。
この「実力派」キャバ嬢は一般的には夜歴が長い場合が多く、文字どおりに実力を兼ね備えているものです。ハタチ前後のキャバ嬢とはその会話に差が出ます。
ハタチ前後のキャバ嬢が、
女の子 このピアス、超可愛くない?
私 ああ。
女の子 超悩んだけど自分で買ったの。1万5千円もしたんだよ。
私 へえ。
女の子 超出費〜ッ。
私 ふむ。
のような(あくまで例ですが)ことになるのに対して、実力派との会話は、
女性 今の前はH店にいたのよ。でも上がバカで、ソリが合わなくてさ。そしたら、ここの系列の社長に誘われてさ。
私 そうですか。
女性 実は最近あんまり体調良くないんだけど、やっぱり頑張んないとマズいからね。
私 ええ、そうですよね。
女性 今、胃の調子が悪くて、お酒控えてるからジュースもらっていいかな。
私 あ、どうぞどうぞ。
のような濃いものになっていくことも多いようで、また、このジュースのくだりに見られるように指導権を握られることも多いようです。若いキャバ嬢と実力派の間にある溝とは「これからの人生に対する危機感」の差でもあるようで、初対面の時はともかく、2度3度と会うことになると、どうしてもその差を強く感じます。
若い女の子だと、
「遊びたーい」→キャッキャッ→「バイトだし」→キャッキャッ→「たるーい」→キャッキャッ。
というパターンが多いのに対して、実力派の場合、
「いつまでも(この仕事)やるわけにはいかないからね」→ポイント&指名獲得合戦→「今は結婚は考えてないね」→ポイント&指名獲得合戦→「今週から火曜日も出ることにしたんだ」→ポイント&指名獲得合戦。
という実力派ならではの展開を見せることになります。
私は実力派の女の子と一人だけ知り合いでしたが、ちょっと疲れてしまって、今は疎遠です。何より実力派の場合、すでにある程度の贅沢や経験を積んでいるので、例えば店外などで飲んだり食べたりしても、若い子が「白木屋行こうよ」などと気楽なことを言ってくれるのに対して、「関サバがおいしいお寿司屋さんがあってね」という、こちらの身の縮むようなことを軽々と言い放つ傾向にあって、経済的にも精神的にも疲れるという事実もあります。
プライベートにおいても、実力派はどちらかというと疲れさせてくれることが多くて、若い子がいいというのは、結局は「いろんな意味で楽だから」ということなのではないかと最近なんとなく実感するのでした。
ひとことで「経験」と書きましたけれど、水商売経験が長いということは、その中にはイヤな経験も含まれているのが普通で、それだけに警戒心も強くなっている部分もあるのかもしれません。
ただ、もちろん、ホントに気が合えば、訳の分からない若い女の子と飲むよりは実力派と飲む方が楽しいはずなのですが、どうもうまくいきませんね。