吉祥寺キャバクラエリアの個人的危険地帯

  

bar.jpg

私の遊びの基本テリトリーである吉祥寺ですが、最近、私個人にとっての危険地帯ができています。 どういうことかというと、顔見知りの客引きが増えすぎて、しかも特に酔っていると防御に甘くなる私は格好の餌食になり、私の姿を見た途端に100mくらい遠くから「○○さ〜ん!(私の名字)」と叫びながら猛ダッシュをかけてくる客引きもいます。

具体的に書くと、一番の危険ポイントは近鉄裏入口の交差点(A地点としておきます)です。次はその手前の高架と末広通りが交叉する周辺(B地点)。次が南口駅前(C地点)。最後に近鉄デパートのほぼ裏手にあたる暗くて小さな交叉路(D地点)です。



Mさんの場合

駅北口を降りて、右に曲がるとすぐある交番のところにある交差点の向こう側に客引きたちの一団が固まっています。野獣の群れ、といった迫力さえも感じる荘厳な光景です(A地点)。
ここで、「C」という店のMさんという若い客引き(何店か紹介しているのでポン引きという言い方もできなくはない)が私の姿を見つけると、激しいアタックをかけてきます。初めて私が彼を認識したのは数カ月前なのですが「以前、M店にいたMです。今日はどちらへ?」と声をかけてきました。私はP店に行くつもりだったので「Pに行く」と告げましたが、「今度、新規でC店出来たんですよ。4千円にしときますから、今日だけお願いしますよ」と穏やかな口調ながら、私の腕をがっちりとアームロックふうに固め、ズルズルと道を引きずって行くのです。

「おいおい……。オレ、Pに行くん だって」と叫んでも無駄で、彼はにこやかな表情で、しかし腕に渾身の力を込めて、私をズルズルと連れて行きました。C店は交差点から5分くらいと立地的には不利な場所にあるのですが、吉祥寺で比較的有名なキャバクラ「M店」と「G店」のチェーン店です。

結局、Mさんは本当に強引に私をC店まで連れてきてしまいました。もう連れられてきてしまったものは仕方ないんですが、「ああもう、強引だなあ、Mちゃん。犯罪スレスレだよ、あれじゃ」とだけ言いました。「まーまー。ほんっとにいい女の子つけますから」と言って、また客引きに出ていきました。ついた女の子はまあ、「ほんっとに」というほどではありませんでしたけれど、近鉄裏っぽい落ち着いた感じの女性で、悪くはなかったです。

後日、私は別の用事で友人とあの交差点を歩いていました。ここでまた背後から「○○さ〜ん!」という声が。間違いなく、あれはMさんの声です。周囲をビクッと見回すが、Mさんの姿は見えない。よく見ると、本当に遥か200mくらいの果てに豆粒のようにしか見えない人物が、こちらに手を振って走って来ているのです。

夜の街です。
つまり、暗いわけです。
しかも、私以外に大勢の通行人たちが歩いています。そんな状況下で200m向こうからどうして私を認識できるのか? 息を切らして走ってきたMさんは「今日はお友達と一緒ですか? Cどうです。今日も4千円でいいですよ」と言って、また私の腕をガッチリとロックしてきました。

「またはじまった、Mちゃん。今日は勘弁してよ。大体、なんであんな遠くからオレを認識できるわけ? 視力12.0とかあるわけ?」
友人もMさんのあまりの強引な客引きぶりに驚いていましたが、二人とも特に用事はなかったということもあり、しようがなく行くことにしました。「行くから。行くから腕ロックしないでよ。Mちゃん」とMさんに言いましたが、彼は「ふっと消えられると困りますからね」とだけ言い、また強引にC店に私たちを連れて行くのでありました。この日はビールも無料で2本つけてくれて、女の子も悪くはなかったです。

悪い人ではありません。悪い人ではないのですが、夜、この交差点の辺りを歩く度にビクビクしています。いつ、あの「○○さ〜ん!」の叫び声が聴こえるかと思うと、安心して歩けません。
この交差点のすぐ横にわりと好きな女の子がいる「P店」があるのですが、ここに行くために、わざわざサンロードから近鉄方面に回り、近鉄裏から駅に向かって戻る形で「P店」に行ったことさえあります。


glass.jpg

O店の青年の場合

しかし、この迂回の仕方でも厳しい局面に陥る場合があります。
近鉄と平行に近鉄裏には細い道が何本か流れているのですが(D地点)、「P店」に行くために近鉄側から迂回していた時のことです。この辺りにも客引きはたくさんいて、大変恐い顔つきをした人たちもたくさんいるのですが、そんなにしつこい客引きはいません。ところが、私に声をかけてくるものがありました。

「兄貴、兄貴じゃないですか!」と言ってくるのです。長い人生の中で「兄貴」と呼ばれた経験など私にはありません。そして、彼は隣にピッタリとくっつき

「南口でよく見かけてましたよ、兄貴。今日、O店はどうですか?」と言ってきました。
「いや、オレは今日は行くとこあるから」と言うと、そのまま背中に抱き付いてきて、店に連れてこうとするのです。
「おいおい……Mちゃんじゃないんだから」
「Mさん? 誰です?」
「C店の客引き。すんげえ強引でさ。いやあ、悪い人じゃないんだけど」
「C? 新しい店ですか? まあ、とにかくウチのOに来てみてくださいよ。もうイイ女揃いですから」

と、背中に抱き付いたまま耳元で語っています。見る人が見れば、じゃれ合うホモの二人という見方もできなくもありません。ちなみに、彼は金髪の好青年です。

「分かった分かった。分かったから。もう行くから。幾らにしてくれる?」
「今の時間、7千円なんですけど、4千円とビールつけます」
「分かりました分かりました。行きますよ」

というようなことがあって以来、この道も危険地帯となってしまいました。なぜかこの青年との遭遇率も異常に高くて、このあたりを歩いていると、必ず会うんです。そして、店の周辺にはO店の店長や他の客引きもたくさんいて、青年が「お一人様、ご案内で〜す」と叫ぶと、黒服の男たちにグルッと囲まれたりします。その青年以外はとても恐ろしい顔つきで、簡単に言うと、ヤ○ザと言われても誰も否定できないタイプの人です。

最初にO店に行った時は「こりゃ、ボッタクリかな」と一瞬、観念しましたけれど、結局、お店は彼の言う通りの4千円+ビールでした。出る時恐ろしい顔をした店長が「どうでしたか? ググッとさわっちゃいましたか?」と笑顔で下品なことを言ってきたのにはちょっと閉口しました。

ヒゲのオヤジの場合

さて、では、近鉄裏に行くのに他のルートはないのか? あります。駅南口を降りて左手に進み、その交差点(B地点)を越えて、まっすぐに進みます。一本目でも二本目でもいいので任意の道を左に曲がり、まっすぐ行くと近鉄裏に突き当たります。
ところが、このB地点も最近は私にとっては危険になってきています。今、改装中のMという店が南口にあるのですが、このお店は現在、改装中の間、北口に「G」という店をやっています。このG店の客引きのヒゲのオヤジは以前、南口のM店に私が行っていた頃からの顔見知りで、お店の一時移転と共に立ち位置をB地点周辺にしたようで、この間、なにげなくその交差点のところを歩いていたら、いきなり捕まってしまいました。

「あれ? オヤジ? 最近、ここにいるの?」と私が酔っ払って声をかけると、「Mちゃん(前に指名していた女の子)いるよ」と言って、グッと私の肩を抱き寄せました。これも見る人が見れば、抱き合っているホモに見える光景かもしれません。


jinro.jpg

「ちょっとやめてよ、オヤジさん。今日はMちゃんじゃないんだ」
「ほかの店行ったら、Mちゃんに言いつけるぞ」
「うーん……。値段下げてくれる?」
「○○ちゃん(私の名字)指名の客だもん。値段は下げられねえんだよな。ジンロのボトル一本つけるよ」
「ジンロか……」

と悩んでいる間にも、オヤジは私の腕を前述したMさん同様のロック体勢で捕らえ、ほぼ無理矢理の体勢で「G」まで連れていこうとしました。
「もう、誰も彼もしようがないな。行くから引っ張んなくていいって!」
オヤジは「ニヤッ」と笑っただけで、そのまま私をG店まで連れて行ってしまいました。

というわけで、近鉄裏は広範囲にわたって、私にとっての危険地帯があるわけです。特に恐れているのが、A地点のMさんとB地点のヒゲのオヤジです。この二人は私を見ると、猛ダッシュをかけてくるだけではなく、かなり強引に店まで連れていくので要注意だと言えます。
ちなみに、私は別にひどいことをされているわけではなくて、実は十分にこのやり取りを楽しんでいるんですけどね。でも、あるお店に行きたい時に、それを彼らに強力に阻止されるのはちょっとつらいところではあります。
お店自体はどこも間違いなく優良店で、ボッタクリ店などひとつもありません。

南口周辺(C地点)にもたくさんの客引きが立っているのですが、こちらはお店の値段自体が安いこともあって、それほど強力に客引きをしなくともいいのか、近鉄裏にあるような迫力と脅威に欠ける部分があります。
「今日はいいや」というだけであっさりと引き下がる人がほとんどです。
ただ、顔見知りにはやはり要注意で、E店の客引きや、以前、S店に勤めていたのがI店に引き抜かれた客引きの人、D店という店の客引き。このへんの人物たちは私が泥酔状態で歩いている時に、いつの間にか店に連れていったりしていることがあるので注意が必要です。

前に夜12時頃から激しく南口で飲み続けた時のことですが、その時は結局、朝の4時に閉店する店の終わりまで、都合3〜4軒行ったのですが、すべて顔見知りの客引きの巧みな値下げ提示によるものでした。


まあ、なんだかんだ言っても、私は客引きが好きなので、彼らとの交渉も十分に遊びのひとつだという考え方をしています。客引きにとっ ても、実は私などは好かれるタイプだとは絶対に思いません。結果的には店に行くことが多いので、目を付けられるのでしょうが、交渉がワガママですからね。 向こうが「今の時間、本来は7千円のところを4千円で」とまで言ってくれている場合でも、必ず「3千円はダメ?」と聴きます。「いやー、それはちょっ と…」と言ってきたら、
「携帯で店長と交渉して!」とまで言うこともあります。これでOKの場合もあるんですけれどね。

私の友人には目的のお店がある時には、やたらと他店の客引きを嫌う人がいます。怪訝に手で追い払ったりしています。私はどんな客引きでも、やって来てくれ た人とは一応話をします。もしかしたら、これによりまた新しいお店や素敵な女の子と出会えることがないとは限らないのですから。