NOFIA'S COLUMN
向上心なんていらない
コラムを書き始めた日付を見ると、
2000年の春からということになっているようで、このHPも何となく3年半くらい経ってしまったということになるようです。3年前の激しい遊び方は今は
どこへやら……というほど今ではマイペースなフリー遊びが中心となりつつ現在に至っています。
私の遊びのフィールドはもう今さら書くまでもないのですが、西東京の吉祥寺という街がメインで、たまに中野、ごく稀に新宿、という感じになっています。と
りあえず、どこも電車で行けタクシーで帰って来られるという距離問題を重視しているのですが、距離だけ重視するのならもっと近い場所もあります。
実は私の住んでいるNという小さな街にもキャバクラはあるのです。
このHPを始めた頃には一軒だけだったのですが、今では三軒のキャバクラが私の地元にはあります。
一応、どこも行ってはみたのですが、何が悪いというわけではなく、何だか「近すぎてヘンだ」と感覚があり、遊びに来ている気分になれないことなどが多く、あまり地元の店に行くことはなかったのですが、先日、久しぶりに「H」という店に行ってみました。
ここはこのHPを始めた頃からすでにあり、歴史は4年以上にはなると思います。
オープンの頃は「ワイシャツパブ」という複雑な名称のキャバクラで、女の子たちは腿くらいまでの長いワイシャツをまとい、その下は下着だけ、というコスチュームのお店でした。
その後、気付くと、この店はいわゆるチャイナパブに変わっていて、今では制服はチャイナドレスということになっています。
いずれにしても、田舎街の小さなキャバクラで、特に論評を加える必要のある店というわけではありません。
久しぶりに入った店内は以前とはさほど変わっているわけではなく、多少の装飾品がプラスされている以外は「年月分だけ店が古びた」という印象を受けました。
まあ、それはいいんですが、ともかく椅子に座って、女の子を迎えました。
もちろん、この店に来るのも何年かぶりだし、馴染みの子などがいるわけはありません。
店長なども変わったようで、以前、顔見知りだった店長やスタッフの姿も見えません。
女の子が来ました。
「どうも」
「こんにちはー」
などとやりとりしていて、しばらくして、ふと、女の子が、
「なんか見たことあるなあ」
と言ってきました。
「どうかなあ。この店にはだいぶ来てないから」
「あ、でも来たことはあるんだ?」
「うん。昔たまに来てたよ。指名していた子とかもいたし」
「だから見覚えあるのかなあ……」
「いや、最後に来たのはもうずいぶんと昔だから……人違いじゃないかな」
「そうかな」
私自身は2年以上は店に来ていないと思っていましたが、しかし、ふと考えれば、酔った勢いで、1年くらい前に来たことがあるような気もしてきました。
「見たとしたら、いつ頃?」
と、私は訊いてみました。
「うーん、わかんない」
「っていうか、きみ、この店にどれくらいいるの?」
「あたし? 4年」
「へえ……って、え? 4年?」
「そう、4年」
「こんな店に4年?」
「なんかおかしいかな?」
どんなキャバクラでも在籍4年といえば、結構なものです。
しかし、それがちょっと高級なキャバとか、何か在籍し続ける理由があるキャバならともかく、こんな田舎街の客も大した来るわけでもないだろう小さなキャバに4年間在籍している……。
これは現実的には結構珍しい話です。
この女の子自体のルックスも決して悪いわけではなく、本人が望めば、もっと上のランクの街、上のランクのキャバクラに勤めることができるに違いありません。
「なんでこの店に4年もいるの? 給料がすごくいいとか?」
「まさか。普通よりも安いかな」
それも当たり前で、この店は通常料金が3千円〜5千円の推移で、しかもガラガラの時には値引きもしてくれるわけで、
この料金体系で女の子に高い時給を支払うということにはちょっと無理があるでしょう。
「だよな……。じゃあ…………なんで?」
「なんでだろう?」
「あ、この街に住んでるとか?」
「違う」
「あのさ……きみ以外にここに4年もいる女の子いる?」
「いない(笑)」
「だよなあ……」
しかし、4年も在籍しているとなると、私のことが記憶にあっても不思議ではありません。
3年ほど前にこの店にお気に入りの女の子がいて、結構、頻繁に通っていた時期があります。
そして、私は唐突にひとつのことを思い出しました。
「あー!!」
「どうしたの?」
「○○って女の子覚えてる?」
「う〜ん、覚えてるような気もするけど……。なんで?」
「オレ、あの子に金貸してんだよ」
「いつの話よ」
「3年前」
「そんなの今さら(笑)」
「あの子、突然ヤメちゃったじゃない」
「そうだったかな」
と、どうでもいいことを思い出しながらも、私はしばらくその女の子と話し続けました。
「まだしばらくはここで働く気?」
「うん。特に変えようとは思ってないけど」
「なんでだろうなあ。そんなに居心地いいのかな」
「うーん……。やっぱり、ラクなのかな」
「ラク?」
「うん。なんかいろいろ言われたりしないし、ノルマとかさ」
彼女が言った「ラク」の一言で、私は何となくすべての謎が解けました。
何だか理解できたのです。彼女がここで働き続ける理由をです。
キャバクラ嬢と一口に言っても、下は2千円程度の時給で働いている人から、上は1万円前後などという、とんでもない時給をもらっている女の子がいるのもまた現実です。
もちろん、1万円クラスの女の子には「もらえる理由」があるわけで、要するに、時給以上の集客能力を持っているからこそ、そういう女性たちは高い賃金をもらうことができるわけです。
しかし、それに伴うある程度の苦労もあるでしょう。
営業、同伴、休日デート……。
やりたくはないけど、しなきゃならないことがいろいろとあります。
それよりも……「何の努力もしないし、お客も集めないけど、確実に2千数百円の時給をもらおう」という考え方もあるわけです。
私もどちらかというと、こちらの考え方寄りの性質を持っている人間なので、彼女の考え方はとてもよく理解できるんです。
まあ、しかし、本来は人間は向上心を持たなければいけないのかもしれないですけれどねえ。
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