M嬢の吉祥寺への凱旋

  

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何度も登場しているM嬢ですが、上にある「M嬢との対話【恋愛地獄編】」の時に、彼女と飲んだのは吉祥寺でした。彼女のキャバクラ嬢時代の古巣です。
吉祥寺はキャバ通りと一般の飲み屋通りが大体同じ位置にあるので、吉祥寺に飲みに行くということは、必然、その周辺を通りながら歩くことになるわけです が、そこで彼女の元キャバクラ嬢としての顔の広さをつくづく思い知ることになりました。(私自身の表記はNOFIAにしてあります)

まず、待ち合わせは吉祥寺の南口の改札だったのですが、ここで私に近づいてくる男性がありました。S店のキャッチです。S店はM嬢がかつて在籍していたこともあるお店です。

男「やあ、お久しぶりです。今日はどちらへ?」
私「いや……ちょっと、知り合いと飲みに」
男「うちの店、ご無沙汰ですよね」
私「まあ、いろいろとあって」

と話し込んでいた時に、M嬢が到着しました。
彼女の第一声は、

あー、Tくんじゃない! まだキャッチやってんの?

でした。
Tくんは「あれ? 知り合いって、Mさんのことですか?」と、私の方に向き、ニヤッと笑いました。

M「あたし、夜やめたのよ」
T「マジ?」
M「そうよー。渋谷でOLやってんのよ。すごくない?」
T「そうなんだ」
M「Yくんとか元気? 今度飲みに行こうよ」
T「今日は何を……?」
M「NOFIAちゃんとはたまに飲んでんの。吉祥寺久しぶり。」
T「ああ、そうか」
M「じゃあ、また連絡すんね」

と、Tくんから離れ、歩いていると、すぐにM嬢の携帯が鳴りました。

M「あー、Yくん? そう。今、吉祥寺にいるの」

と、M嬢の吉祥寺凱旋は、Tくん連絡網でたちどころに伝わったようで、何本かの携帯が鳴りました。
その後、飲み屋に入ったのですが、そこでかかってくる電話も、元キャバクラ嬢、元店長、元お客さんと、そのほとんどがキャバクラ関係者からのものでした。 もちろん、そこで飲んでいる私自体も彼女の元キャバクラ関係者であることには違いありません。唯一、キャバクラ関係でなかったものは、彼女の元彼氏からの ものでした。
で、まあ「M嬢との対話」にある通り、いささか紛糾した飲みにはなったのですが、とりあえず飲み終えたのが午後10時前後。
この頃になると、表通りには客引きが入り乱れて立っています。


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まず、私たちが飲んだ焼き鳥屋さんのあるビル自体にキャバクラがあるのですが、エレベータを降りた途端に、彼女は「あ、Hくんだ」と叫びました。「知り合い?」ときくと「前にJのお客さんだったの。あの人、なんで客引きやってんの?」と、彼に近づきました。

M「Hくん、私!」
H「あ……」
M「ボーイやってんだ?」
H「これから仕事?」
M「わたし、夜やめたのよ。すごいでしょ」

というような会話を交わしてから、また歩き始めてすぐに、ある中年の客引きさんの前で止まりました。

M「Oさーん!」
O「おお、M。何やってんだよ……。あれ? NOFIAさん?」
(このOさんは私がよく行く「I」店の客引きさん)
私「いやー、なんつーか…」
M「え? NOFIAちゃん、Oさん知ってるの?」
私「最近、たまにこの店に行くんだよ」
O「そうかあ。NOFIAさん、Mと知り合いだったのか」
私「つーか、昔の客ですよ」
M「Oさん、私、夜やめたんですよ」
O「おお、そうか。頑張れよ」
M「Sちゃんとかは元気ですか?」
O「あいつは今、新宿で働いてるみたいだな」

というような世間話を経た後に、また歩き出しました。
彼女は何だか懐かしそうな表情をしていました。

「ねえ、Jの方に行ってみない?」
「いいよ。でも、今はGって店になってるよ」
「なんでもいいの。あの辺り見てみたい」

私たちは近鉄裏の方に歩いていきました。彼女が2年近くをキャバクラ嬢として働いた地帯です。
彼女はかつて自分が働いていた店を遠くからしばらく眺めていました。

「ちっとも変わってないね」
「そう簡単には風景なんて変わらないよ」

無事に夜の仕事から昼の仕事へ移ることができたM嬢ですが、18歳から24歳まで6年間続けたキャバクラ嬢という仕事は、良い意味でも悪い意味でも彼女の中ではとても大きいようです。