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3人で夜の12時頃まで飲み、解散ということになりました。
そして、まあ、解散にはなったのですが、私はなんとなく収まりがつかず、そのまま吉祥寺に向かうことになってしまったわけです。

キャバクラに関しては、相変わらず指名の女の子もできず、フリーで回ってばかりの私ですが、
この日も特に目的のお店もなく、単にブラブラと歩き回りました。

最初は北口に行ったのですが、何だか全然客引きがいません。
ひとりかふたりボーッと立っているだけで、活気というものがまったく見えません。
今日は木曜で平日だし、給料日直後というわけでもないし、よく理由がわかりません。
ひとりだけ寄ってきた客引きの人はRという店の人で、私としては「ここだけはちょっと……」という思いがないでもない店だったので、
とりあえず勘弁してもらって、また歩き出しました。

ある店のボーイさんがタバコをふかしながら、非常に大きな態度で立っていました。
向こうはこちらの顔を覚えているらしく、こちらを見て「ああ……」みたいな言葉を口にしました。

こちらとしては彼を客引きと考えているわけなんですが、彼は「今日はうちも満員でご案内できないんですよね」と言って、
プハーとタバコを吸い続けていました。
それはなんというか、本当に大きな態度で「今はおめーには用はねえんだよ、おっさん」という雰囲気もないではありませんでした。
「自分は今は客引きではない」という立場になっただけで、こんなに態度が変わる人もいるんだなあ、と思いながらも、
まあ、それでも人間というのはえてしてこういうものなのだろうと思い、その場を離れました。
彼が言うには、「吉祥寺は木曜日が混むんですよ」とのことです。
それが真実かどうかは何とも言えませんが、まあそういうことだそうです。
とりあえず、北口は諦めて南口方面に向かって歩き出しました。

南口の交差点のところでひとりの客引きが寄ってきました。

「3千円でキャバクラどうっすか」

午前12時を過ぎたこの時間で3千円を提示してくる店はそうあるものではありません。
店名をきくと「M」という店でした。聞いたことのない店だったのですが、聞けば、以前「R」という店があった場所で、
そこが潰れたそうで、その場所に新規オープンした店だそうです。

まあ、当たりはずれがあるにしても3千円。
行ってみよう。

そう思い、その店に行きました。
店内は何というか、「さすが3千円」という感じで、とにかく混沌としていました。
なぜか若い客ばかりで、ネクタイをしているお客さんは一人しかいません。
店は大混雑していている上に、テーブルの上に足を投げ出している若い客などもいて、とにかくカオスを極めているようなお店でした。
しかし、それだけ混雑しているのにマイナス営業などもなく、女の子もほぼ1対1でついているようでした。
来た女の子も特に問題はなく、値段と比較すれば文句を言う筋合いはまったくなかったと思います。

まあ、ここは1時間で退出した後に、南口の駅方面に向かうと、遠くから「○○さーん」と私の本名を叫んでいる男の人がいました。
南口のMという店の店員さんです。いや、もしかすると、この人は今では店長さんかもしれません。
何度もコラムに出てきているお店です。
指名がある時以外はいつでも安く入店させてくれるし、店の雰囲気も悪くないので、私としてはいい店だと思っています。
何より男性従業員たちに一種の明るさがあって、客の持つ不安感を払拭させてくれるのもいいところだと思います。
この日も店に連れていってくれた店員(店長?)さんは、「こないだ援交しましてねー」などという楽しげな話題とともに、
その時に撮ったという携帯写真を私に見せてくれたりしていました。

店探しも疲れたので、リスクのないこの店に行くことにしました。
実際、ここではかなりの引きで、真剣に場内を考えたほどの女の子もついたのですが、
「まあ、今度改めて指名ということにしよう」(というか、あんまり持ち合わせがなかったんですね)
ということで、それなりに満足し帰ろうと思いました。
新規ワンセット、という、あまり歓迎されない客のままこの店を後にしました。

それにしても、全然酔っていません。
実は最近、私はとみにお酒があまり飲めなくなっていて、特にどうもウイスキーがダメになっています。
店に1時間いても水割り一杯飲むのがやっと。
トシの問題もあるのでしょうが、飲みまくって泥酔ばかりしていた時を思うと何だか淋しい限りです。
「なんかパーッとはじけたいなあ」
という思いがありました。

そういう気分の時に私の目の前に出てきたのが、もう何度も何度もこのコラムに出てくる国際パブ「P」の中国人青年です。

実はここまでは前振りで、今回の本題はこの店に入った時に見た光景の話です。
(非常に長い前振りでしたね)

この店はフリーならオールタイム1時間3千円なのですが、勢いで、何度か営業をもらっているフィリピン人の女性を指名しました。
このフィリピン人の女性(女の子という年齢ではないのは確か)はとても明るい性格が取り柄なのですが、
営業姿勢が非常にフィジカルで、「営業=カラダの接触」と考えているフシがあり、肉体的アタックはかなりのものです。
まあ、それでも、ある意味で弾けた彼女の営業姿勢を楽しんでいたのですが、
そのうち、斜め向かいのボックスに座っているネクタイの中年客の存在が気になってきました。

その中年男性はネクタイをしたおとなしそうな男の人で、
ふたりの日本人らしき女の子に囲まれていました。
その女の子たちはまったく席を離れる気配を見せなかったので、多分、二人とも指名していたのだと思います。
お客さんは非常に嬉しそうな表情で、終始、ニコニコとしているのですが、
よーく観察すると、どうも「客と女の子の対話」というものがあまりないのです。
指名されているらしき女の子ふたり同士でえんえんと話しているフシがあって、その光景をオジサンが黙って見ている、というような状況です。

この3人組の中から主賓であるお客のオジサンを外したとしても、場はまったく問題なく進むであろうほど、オジサンは会話に参加していない感じでした。
よく見ると、テーブルの上には誕生日か何かを祝ったかのようなボトルが置いてあります。
誰かの誕生日なのでしょう。
いや、様々な状況を分析すると、どうやらオジサンの誕生日だったと断言できます。
オジサンは自分の誕生日を家ではなく、この店で、この女の子たちと一緒に祝いたかったのだと推察されます。

私がこの店に入ったのがもう午前2時とか3時とかそんな時間で、1時間ほどして、店は閉店ということになりました。
例の中国人の青年が「閉店でーす」と言って、お金を徴収しに回っています。
私は自分の分の6千円(基本料+指名料+ドリンク数杯)を払ったのですが、ふとオジサンを見ると、
万札数枚を店の人に払っています。
それが2枚なのか3枚なのか4枚なのかは確認できませんでしたが、
この安い店で数万円となると、相当の時間をこの店で過ごしたと推測して間違いないと思います。

その姿勢が女の子たちをハベらせてギャハハと笑っているような積極的なものではなく、
ふたりの女の子たちが会話している姿を見て、ニコニコと笑っているだけという、
消極的ともシャイともとれる客ぶりを見せていたわけです。
私の場合などは女の子との会話が成立しなかった場合は「ダメな時間」ということになりますが、
このオジサンはそうではないようです。

「お気に入りの女の子が楽しく喋っている姿を見るだけでいい」。

そんな姿勢のお客さんを見て、人それぞれなんだなあ、と思いつつも決して悪い気分ではなかったのでした。


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