キャバクラで戸惑う年頃

  

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最近書いてある通りに、ここのところの私は、かつてのコラムにある「営業地獄」などという状態とはずっと無縁の日々を送っていました。

それにしても、「キャバクラに行けば、その後、営業がある」という絶対的な真理を私は忘れていたようで、最初に営業電話が来た時も「はあ?」というようなリアクションだったと思います。
以前なら携帯を取った瞬間、それが知らない女性だと確認するや否や、その電話はすなわち営業電話だと直ちに認識し、即座にそれに対応した呼応、釈明、合いの手、などの応酬ができたものですが、今はそれらの行動が咄嗟には出ません。

「もしもしー、○○○の○○でーす」
「あー………」
「この間はどうもありがとうございましたー」
「あー………」
「今、何してたんですか?」
「あー………」

というように言動の機敏性という点で非常に落ち度があったと反省しています。

その日は私の引きが極めて良かったということは書いたのですが、その後の営業バックもかなり見事なものでした。
5軒回って、4人の女性からの営業をいただきました。
そのうちの2人は同じ店の女の子からのものです。
5に対しての4、というのはバック率としては経験上かなり優れているのは事実かもしれませんが、同時にこれは今やキャバクラ初心者となってしまった私が、どの店でも誰にでも自分の携帯番号やメールアドレスをベラベラと教えていたという事実でもあります。
昔は多少は選んで教えていたものですが、そういう防御の方法論さえ忘れているようです。
中には、

「私ネ」
「は?」
「覚えてないネ?」
「えーと」
「○○○の○○○ネ。一緒に飲んだネ」
「あー……」

という電話もありました。
これは最後に行った「国際パブ」の中国人女性からの電話で、本当に誰にでも教えていたようです。
いずれにしても、見境なく連絡先を教えていたフシがある私には4人の女性からほぼ一斉に営業電話や営業メールが鳴り響きました。

営業メールというのは昔はあまり使わなかったものです。
当時、私が主にPHSを使っていたということもあるのですが、そうではなくとも、2年位前までのキャバクラ営業社会では、携帯でのメールは「今何してる?」程度の1行モノが主流で、超長文、顔文字連発の現在のメール事情とはまるで違いました。

個人的にはメール営業というのは、

「ちょっとズルイな」

という気もないではないです。

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営業電話というのは、とりあえず相手が出ることが前提となっているわけですから、基本的に掛ける方にも多少なりとも緊張感が発生します。そして、相手が電話に出た場合、とりあえず、その女性は「営業をしなければならない」わけです。
これは断られる可能性もあることを考えると、実はそれほど精神的にラクな行為ではありません。
「ナンバー1などという称号をもらいバリバリに働いていた女性が次第に人気がなくなり、店での立場を危うくする」という事象が発生する一番大きな理由は、その人の美貌が衰えたわけでも、性格が突然悪くなったわけでもなく、

営業するのがイヤになった

という理由が大変多かったと記憶しています。
それほど、営業電話は女性にとっても楽なものではなかったように思います。
しかし、メール営業にはその努力も労力もほとんど必要としません。
しかも、不特定多数に同時に大量に同じメッセージを送ることも可能です。
その労力の不要さに少しズルさを感じさせるわけですけれど、時代がこうなってしまった以上は自然の成り行きでしょうか。

それが反映したのかどうかはわかりませんが、私はメールでの営業はほぼ無視しました。
4人のうち2人がメールではなく、昔ながらの営業電話をくれたのですが、結果としては、このうちのひとりの方の営業に乗ってしまいました。
前回コラムで「モーニング娘の誰かと似ている」と書いた女性です。
シラフで会うと、モーニング娘の誰とも似ていませんでした
まあ、それはいいでしょう。

乗った営業に関して、それが良かったかどうかは別として、どうも営業に慣れることができない自分がいます。
考えられるのは時間の空白か、それとも自分の年齢か。
それはわかりません。
ただ、当時、三十代中盤だった自分も今は三十代後半へと差し掛かっています。
40歳もそう遠くはない私は今、19歳だの20歳だのの女の子からの営業電話にかなり正直に戸惑っているようです。

これからどうするのかはその戸惑いの度合いによるのだろうと思っています。