営業行為の掟

総論にも書きましたが、キャバクラ嬢の語っている言葉には営業が多く 含まれます。対面した回数が少なければ少ないほど、会話に含まれる営業含有率は高くなります。当然といえば当然のことで、初めて会った正体の知らない男に プライベートのことを何もかも話す義務など女の子にはありません。
そして、ここで最初の軋轢というか、女の子の考えとのギャップが始まるのですが、つまり、男性サイドの深層心理にある、

「誰かオレのことを一目で好きになってくれないかな」

という想いで、
これが、

「この子はそうなのかもしれない」

という錯覚に一方的に走ってしまうことが希にある、ということです。 「希に」と書きましたが、案外この錯覚は多いような気がします。ごく普通の店のごく普通のキャバクラ嬢なら、大体は笑顔で席に来て、お客の顔を見つめたり します。ここで、男性サイドは夜の世界ではない人生経験の中でインプットされている、

「見つめる女はオレのことが好き」

という錯覚に陥りやすい状態になります。
ごく普通に考えてほしいのですが、キャバクラで女の子が席に着いた後に、とりあえずお客の顔を見る以外の行為は何もないわけです。ごく希に「宙をボーッと見ている」ような天然ちゃんや不思議ちゃんもいないわけではないですが、たいていは笑顔でお客の顔を見るところからスタートする(しかない)のが普通です。
つまり、入店後の第一歩として、

・笑顔でお客の顔を見る行為にはまったくの個人感情は反映されてはいない。

と極端に考えてもいいと思います。
このスタート時点での錯誤には十分気をつけたいところだと思います。最初に抱いた感情がその後も続いてしまうこともよく見られることだからです。基本的に、誰でも「自分の好みの女の子には自分のことを好きでいてほしい」という感情があります。これはあまりにも当然の感情なのですが、現実の生活でそういうことばかりだということは、よほどモテる男性でもない限りは、普通はあまりありません。ところが、キャバクラにおいては、なぜか錯覚してしまうこ とが多々あります。これが最初の笑顔や会話の定番の巧みさによるところが多いものだというのは事実ですが、一般的には「一目惚れなどされることはきわめて 少ない」と考えた方が精神的には楽だと思います。現実の世界でもキャバクラにおいてでも、相手はつまりはただの女の子です。街を歩いていて、突然見知らぬ 女性に惚れられる、などという劇的な事件がそうそうあるわけではないように、キャバクラでも、そうそう簡単に好きになられるということはありません。それ だけに、スタート時点での錯覚には重々注意したいところです。

では、ここでうまくスタートしたとして、次は会話ということになるわけです。
「話題の定型」にも書いたことですが、普通は、年齢、職業、出身、表層的な趣味、配偶者の有無、などを聞いた時点で女の子と客の間にはもう話すことなど何 もなくなってしまいます。つまり、フリーな会話はそこから始まるわけですが、一般論として、少なくとも初めてのお客さんが相手の場合だと女の子はプライ ベートに関わることに関しては、あまり話したがらないものです。すなわち、

・本名
・昼があるなら昼の仕事や出勤先の具体名
・人によっては住んでいる駅名

などはあまり知られたくないと思うのが普通です。これは女の子にもよ るもので、警戒心の強い子の場合だと、極端に自分のプライベートを隠す傾向にあるし、警戒心があまりないような女の子の場合だと、お店での名前もそのまま 本名を流用してたりすることもあるわけで、難しいところではありますが、

・数回に渡って会っているのにプライベートを何も披露したがらない。

というのは、女の子の姿勢が基本的には営業であることを示唆していると考えてもいいと思います。というか、そこまでかたくなな場合だと、むしろ嫌われていると考えても構わないかもしれません。
名前や出勤先など、初めての時に教えてくれることなどよくあることですし、それを聞いたからといって、何があるわけでもないわけで、そんなことまで隠したがるという事実には理由があるはずです。

比較的、好かれていると認定できるプライベート話としては、

・自宅の電話番号を教えてくれる。
・正確な住所を教えてくれる。あるいは自宅に招いてくれる。

というあたりではないかと思います。
とはいえ、これさえも営業の小道具として利用することもあるのですから、問題は楽ではありません。自室に招いてもらった程度で納得している場合ではありま せん。キャバクラに長く通っていれば、そんなことは起こります。しかし、こちらが訊いていないのに勝手に教えてくれる場合なら少しは好意も混じっている場 合もあるとは思います。
もちろん、

・お金を貸してくれる。
・呼べばいつでも部屋に来てくれる。

というようなこととなれば、それはもう営業などではない……と思うの がまた甘いところです。私自身、こういう状態になっても基本的には営業だったという経験もあります。まあ、これは経験的にも特殊な例ですが、ないことでは ないわけです。この世にはいろんな女の子がいるんです。もちろん、同伴やアフターはそのほとんどが(多少の自分の楽しみと)営業です。

いろいろと書きましたが、では、営業を見破るにはどうしたらいいのかというと、これは、あなたがその子のことが好きなら、直接それを伝えるしかありません。
その時点でも、

「あたし、人を好きになるのには時間がかかるから」(攻撃回避の定型台詞です)

とか、

「最近そのことをよく考えるの」

などとうまく丸められることも多いですが、それでも直接言わないより は言った方がマシであることもまた事実です。そこで丸め込まれるのなら、その時点では相手は自分のことを好きではない、と認定しても悪くはないと思いま す。小学生同士ではないのですから、女の子にしても「その人を好きになる可能性があるかどうか」くらいはちゃんと自分で把握しているはずです。その可能性 がないなら、彼女は何とか「自分がお店を辞めるまではこの状態を維持したい」という意志の下に言動をおこなっていくはずです。

ちなみに、好きでもなんでもない、つまり、初めて行ったお店だとか、そういう場所と相手の場合にさえ、直接「好きだよ」などと言うのは逆効果だということも覚えておきたい事実です。

「こいつ、どこでも言ってんだろうな」

と女の子に思われることが確実だからです。普通に飲みに行った場合 は、素直に相手の営業ぶりを鑑賞しながら楽しく飲めば、それはそれで十分だと思いますし、こちらの態度の方が、どちらかというと女の子にはウケがいいはず です。ターゲットにもなりやすくなりますが、それはそれで悪いことでもないでしょう。


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