狂った3ヶ月
歌手志望の19歳との出会い
はじめまして。
私は一昨年の暮れから昨年の春までの約3ヶ月間、あるキャバ嬢に入れ込んでしまって、300万円ほどを失ってしまいました。もちろ ん、私が一方的に入れ込んでしまったのだから、彼女ばかりに罪があるわけではないのですが、それでも今思い返すとどうしてあんなに入れ込んでしまったのか 不思議な気がします。
その店は高田馬場のある店で、女の子は19歳の歌手志望の子でした。暮れに友人の送別会があり、その流れでその店に初めて行ったのですが、だいた い、私はキャバクラ自体にそれほど行ってたわけではなく、知人に連れられて2〜3度行った程度でした。
「たかが女と酒を飲むのに、何で何万も払わなきゃな んないんだ」と、どちらかというとバカにしていた気がします。それなら風俗にでも行った方がマシだと思っていました。
しかし、その日その考えがぶっとぶ瞬 間が訪れたのです。簡単に言うと、一目惚れのような状態になってしまったのです。高田馬場のその店は地下一回で、広さはそこそこ。かなり騒がしい店で、ど ちらかというとしっとりと飲むというよりはワイワイと騒ぐような雰囲気があるお店でした。その時は三人で行ったのですが、知人のうち一人は指名の子がいる ということで指名で、当然、私はフリーで入りました。そこに来たのがその子だったのです。
仮にY子としておきましょう。私の目の前に立った瞬間に「可愛い 子だな」と思いました。私は小柄な女の子が好きなのですが、Y子は背が150cmあるかないかの小柄で華奢な子で、顔にはほんの少しにきびの跡などが残 り、都会的というよりはどちらかというと、朴訥とした素朴な女の子だなあ、という印象を受けました。何かモジモジしているので「座ったら」というと、 「あ、うん」とぜんぜん敬語を使わない口調で照れくさそうに私の隣に座りました。聞いてみると、この仕事はまだ三日目で、まだ状況がよく掴めていないらし いのです。そんな彼女と私はすぐに意気投合しました。
出会い
彼女は19歳であること、ある地方都市の田舎の高校を出てから、歌手を目指して東京に出てきたのだ が、歌謡学校へ行くための学費がなくて、キャバクラで働くことを決めたのだということ、今日初めて他の客に指名されたこと、などを私に語りました。
それら はすべてウソではないことも後で分かったのですが、それはともかく、器用に接客のできない彼女に私は好感を覚えました。キャバクラに来る前に送別会でかな り飲んでいたので、私自身、すでに結構酔っていたのですが、彼女を横にすると、更に飲むテンポがスピードアップしてしまって、気が付くと、ベロベロになっ ていました。そんなフラフラしている私の手を彼女はずっと握ってくれていました。
「大丈夫? もう飲むのやめなよ」と言いつつ、水をついでくれたり、背中 をさすってくれたり色々としてくれていたのですが、気付いたら私たち二人はほとんど密着して抱き合っているような状態になっていました。この瞬間に私の中 で何かが弾けたようです。
その日は知人たちも帰るというので帰りましたが、次の日、すぐに私はその店に来ていました。指名で入ると、彼女が「実は店のスタッフに口説かれて 困ってるの」とのこと。「そんなのダメだよ。こんな店ヤメちゃいなよ」と私は彼女に言ったのですが、その言葉通りに彼女はその高田馬場の店を辞めて、今度 は新宿のお店に入りました。
歌舞伎町にあるキャバクラです。私はそこに狂ったように通いました。
常連となり
一度行くと2回や3回の延長は当たり前で毎日毎日 3〜4万は使っていたように思います。6時間店にいたこともあります。初めて外でデートをしたのは、高田馬場で会ってから二週間くらい経った時のことでし た。恥ずかしい話ですが、その時、私は一生懸命口説いていました。でも、彼女は「もう少し待って。
私、人のことを好きになるのに時間がかかるの」と言うだ けで、私も「うん、待ってる」と応じるだけでした。
今思えば中学生のようなやりとりを19の女の子としていたのです。お店には二日に一度は行っていまし た。毎日毎日3万円単位で金が消えていく。このことに対する恐怖もありましたが、それよりも彼女に会いたい気持ちが遥かに勝っていました。ちなみに私はバ ツイチで、収入のほとんどを自分のために使えるということもあったかもしれません。それでも、貯金はせいぜい300万円くらいしかなく、2ヶ月ほど経った 時にその貯金が半分に減っているのを見て愕然としました。外でのデートもたまにしていましたが、彼女は相変わらず「もう少し待って」というだけでした。
ある日突然に
初めて彼女に会ってから3ヶ月目のある日、お店に行くと「Yさんはヤメましたよ」とボーイに言われたのです。「え? どこか他の店に移ったんですか」 と訊いても、「それは分かりませんよ」と。彼女はいきなりその店を辞めてしまっていたのです。ちょうど仕事が忙しく、五日間ほどお店に行っていなかった時 のことでした。そういえば、その間、一度も携帯に電話がなかったのは変だなあ、と思っていたのですが、私は自分からはできるだけ電話をかけないようにして いたので、彼女の状況が分からなかったのです。とりあえず電話をしてみましたが、留守電。メッセージを入れても連絡はありません。何度も何度も留守電に メッセージを入れましたが、まったく連絡が来なくなってしまったのです。彼女の住んでいる駅は知っていますが、住所までは知りません。そのうち、ついに携 帯が繋がらなくなってしまいました。
もちろん、必死に探せば、彼女の住所などすぐに分かるのでしょうけれど、好かれてはいないのだという事実を考えると、 そんな気にはとてもなれません。終わったんだな、と思いました。不思議と騙されたという感覚はありませんでした。
仕方ないという諦観のような感覚の方が近 いと思います。あの3ヶ月でいくら使ったのか正確なところは分かりませんが、200万以上だったことは確かだと思います。
その後、わりとすぐに気を取り直 して、今でもキャバクラにはたまには行っていますが、どんな可愛い子、どんな良い子がでてきても醒めた目で見ている自分がいます。
NOFIAの感想
確かに大変でしたねえ……。もう少し強引に出ても良かったのではないかな、という気もしないではありません。 しかし、Yさんの人柄の良さが非常に感じられます。 でも、キャバ嬢相手の純愛は注意深く状況や進行を見ていった方がいいと思います。 もちろんうまくいくこともあるでしょぅけど、そうではない場合も多々あります。
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